seratoを用いたエクスターナルMIXについて

2017年6月9日金曜日

DJソフト DJ機材 serato

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今回は世界広しといえど、同じ機構の人何人いるの?ってレベルのお話です。
これを読むことでserato DJの可能性が広がってくれたらななんて思います。



まず、PCDJを始めるにあたって最初に使うのがPCDJコントローラーだと思います。
 

こちらはPCとコントローラー、あとはスピーカーさえあればそれだけでDJができるという優れもの。文明の発達がもたらしたものですね。

こちら、とてもコンパクトでいいのですがDJプレイをPCがエミュレートしている形なので、どうしてもPCパワーを食いますし、音質、音圧の低下を招きます。
実際に存在するミキサーは音を混ぜる専用の機材ですし、機種ごとの差はあれども、PCDJコンを使用するよりかは音質や安全性を含めて確実に良いものになります。(この辺の説明は少し面倒なので適当に流し読みしちゃってください)



そんなわけですがPCDJのメリットである
・圧倒的なストレージ
・素早い&様々な条件での楽曲検索能力
・本来なら神業的ともいえるような複雑なプレイが可能
は昨今の難化しているDJ界ではかなりの強みであると思います。


そんな中で今回のタイトルでもある「エクスターナルMIX」という機構が存在するんですよね。

エクスターナルMIXとは「PCDJだけど音のミックスだけはミキサーを使う」というイメージを持っていただけるといいと思います。
具体的に言うとPCDJの各デッキ毎に個別に音を出力してミキサーに入力するというもの。ちなみにPCDJコンのみでのDJはインターナルMIXと言います。
・DJ MIXをPC内部で行う(インターナル)
・DJ MIXをPC外部で行う(エクスターナル)
こう考えるとわかりやすいですね。

これを用いることでPCDJの利点を残しつつ、DJミックス時の欠点をなくすことができます。




そしてここからが本題、「serato DJのエクスターナルMIXについて」です。

seratoはDVSという形でこそエクスターナルMIX機構を搭載していますが、こちらはタンテやCDJで操作するということの方がよく知れ渡っています。
Traktorのようにキーボードマッピングやサブコントローラーを用いてのエクスターナル機構は実はできるのですが、本当に周知されていないんですよね…
でも、実際にできるし現場でのプレイに耐えうる制度を持っています。(自分は現場もこの機構で挑むことが多いです)




というわけで今回は「CDJやタンテでの操作無しでのseratoエクスターナル」について語ります!ここまでの道のりがとても長かった!!!

まずseratoのエクスターナルなのですが、なんでもいいのでDVSモードとして使用できるハードウェアに接続しましょう。(今回はSL4に接続しています)



はい、これでseratoがDJモードになりましたね!


THRUはスルーアウトという意味で「外部から入力された音声をそのまま出力する」モードです。このままではなにもできませんのでとりあえずTHRUをクリックしてRELを選択しましょう。


ちなみに今回使用しないABSはアブソリュートモード(絶対位置)の略で、DVS時には音声信号と同じ位置を再生するということ。つまり普通にCDJだったりレコードでプレイするのとほぼ変わらないんです。
今回使用するRELはリレイティブモード(相対位置)の略で、DVS時には音声信号の前か後ろかだけを判断します。このモードはどこに針を落としても大丈夫で、ホットキューやループも使えるようになります。
この辺りはDVSするには必須の知識ですね。ちなみにRELの方がかなり遊びの幅が広がるのでこちらを推奨しています。


そして、ここからが重要。RELの下にINTという文字があるのでそちらをクリックしましょう。




INTを押すことによって、今まで空いていた空間に新しい表示がでてきたのがわかるかと思います。
拡大して注釈をつけてみました。



こんな感じの機能が追加されます。
ナッジというのは簡単に言うとDJコンのジョグの外周を触った時のようにちょっと早回し、遅回しするような機能です。
この状態になって初めてserato DJは一般的なエクスターナル機構でプレイすることが可能になります!

この状態で各機能をクリックしたり、下にあるようなキーボードショートカットを用いることでプレイできます。


でもこのままではやりづらいですよね。マウスポチポチやキーボードショートカットは非常時のツールとしては有効ですが、普段使いとなるとかなり辛いと思います。


そこでserato1.7時代から実装されたMIDIマッピング機能を使って好きなMIDIコンにマッピングしてみましょう!
過去記事になりますが自分はkorg nanokontrol2を使用しています!



この記事にあるようにnanokontorol2を以下のようにマッピングしました。
※こちら過去に作成した画像なのですがBENDと本記事におけるナッジは同一のものです


どうでしょうか? 自分はホットキューに重きをおいていますが、ループやロールの実装もできますし、好みに合わせたスタイルで作れます。勿論nanokontrol2以外でも問題ないはずです。(実際、seratoのサブコントローラーとしてtraktor X1が欲しいです)

nanokontrol2のマッピングを作成する際に自分のDJプレイを考えてみたのですが

・HOT CUE必須
・SYNC前提であればジョグはナッジのみでも可
・PLAY、CUE、SYNC、QUANTIZEはボタン必須
・エフェクトはミキサーでかければいい

こんな感じで突き詰めていきました。元々グリッドがしっかりしているクラブミュージックでのプレイがメインでしたので、SYNCを使えばジョグは不要なんですよね。
転換やB2Bの際でも相手のBPMがわかれば簡単に合わせることができます(nanokontrol2のフェーダーが貧弱なので使いづらい)。
BPMが見えなかったとしても根気でどうにか…


また、seratoのMIDIマッピング機能はちょっと貧弱なのですが、(自分が過去に四苦八苦した様子がわかる記事がこちら:Beatmix4をseratoで再マッピングしたら割と強くなった件seratoマッピングの裏ワザを使いまくったらBeatmix4が最強になった件)実際にこのレベルまでマッピングできます。

ここまでくればTraktorと大差ないです。普通にプレイできます。






seratoにおけるエクスターナル機構

メリット
・serato DJそのままでプレイできる
なんといってもこれですね。今までの解析データをそのまま使えますし、seratoのままなのでレイアウトもいつも通り。普段からseratoでプレイしている人にとっては特に困ることはありません。
・DVSと併用可能
個人的にはこれもかなり重要な機能だと思っています。先ほど説明したように、この機構を用いるには「DVS」の「RELモード」を選択した後に「INT」を押すことで可能になります。つまり、INTのオンオフによってエクスターナル機構とDVSを自由に行き来できます。
例えばDVS時に挙動がおかしくなったらINTにするとか、逆に前のDJさんから転換する際やスクラッチしたいときだけはDVSにするとかもできます。

このような感じで、seratoだからといったメリットは特にありませんね。純粋にこの機構の為にTraktorを購入するとかがなくなるだけいいのかなと。
あとは、DVSでプレイしている方でキャリブレーションがおかしくなった時用の「逃げ」の選択肢としていかもしれません。





デメリット
・対応するDVSインターフェースが必須
これはseratoの弱みの一つです。seratoって機材繋がないとこんな状態のままなんですよ。1deckしか表示されないのでDJの仕込みくらいしかできないです。


DVSインターフェースを繋げばいいわけではあるのですが、前回の記事(CDJを用いたserato HID & serato DVSの運用のお話)にも書いてある通りseratoは複雑なライセンス形態をとっています。
簡単に言うと「SL4やDJM900SRTは課金しなくてもDVS可」ですが「DJM900NXSはserato club kitを買わないとDVSできない」といった感じです。
serato club kitを持っていなくて、現場にDJM900NXSのみだった場合なにもできなくなる。そうなってしまうので注意しましょう。


・MIDIマッピング機能が弱い
先ほどはMIDIマッピングは十分と言いましたが、そこにあるリンクから辿るとわかる通り、かなりMIDIマッピングに関して辛い思いをしてきました…
今回の記事に関することで言えば「ジョグの機能はマッピング不可」になります。
seratoのMIDIマッピングはあくまで補助、公式のマッピングを用いるのが当たり前なんです。
このあたりはTraktorの方が確実に優れています。
ですが、自分のような機構であればseratoのマッピングでも十分にDJすることができます。自分の必要な機能と応相談してみましょう。







ハードウェア接続の問題や、MIDIマッピング機能の弱さなどserato自体の問題が足かせになってしまいますが自分はこれで満足しています。
seratoユーザーのみなさんに、これであたらしい道を示すことができたらとても嬉しいですね。



      

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